見て・聞いて・触れる約1000年の歴史を持つ平等院
世界遺産
宇治橋の西詰から宇治茶を商う店に挟まれた石畳の道をゆくと、平等院の表門にでる。
そこで拝観料をおさめ、園内に入ると、すぐ、に阿字池が見え、池に沿って歩くとやがて正面に鳳凰堂があらわれる。
平等院は寺というよりも、その境内は鳳凰堂を中心にした遺跡公園といったほうがいいでしょうか。
2001年に平等院ミュージアム「鳳翔館」が宗教法人として初めての総合博物館として開館。鳳凰堂を中心に史跡名勝に指定されている空間での遺宝を詳細にみることができるようになっています。
鳳凰堂と極楽浄土
鳳凰堂の主体である中堂は、正面全長14,2m、側面1l.8m、単層の入母屋造で、正面部分だけ高くなった裳階をまわし、本瓦屋根の頂辺に一対の鳳凰をとりつける。この中堂の
屋根の四隅がピンと反って、堂全体に跳動感をもたらしている。そして南北に翼廊をのばし、その端部分に隅楼をのせて阿字池側につき出している。この翼廊の下部は柱だけで二階部分が板張りになり、中堂と行き来はできない。ということは、様式美のための建物なのである。
鳳凰堂東面には砂利を敷いた洲浜が阿字池になめらかに沈み、阿字池の水面に鳳凰堂が映る。そして中堂の中心には、ちょうどお顔のところだけ丸くえぐった格子越しに阿弥陀如来像を拝することができ、阿字池という彼岸を越えて西方の極楽浄土をのぞむ形になっている。
中堂の須弥壇上に、平安中期の名仏師定朝の大傑作である阿弥陀如来像が金箔もあざやかに坐っておられる。像高約2.5m,定印をきっちりと結び、伏し目がちで頬は丸く豊かで柔和なお顔である。光背は掌を丸めた大きな手が像を守るようにあり、さらに天蓋は円蓋をなかにおさめた巨大なもので、透彫の細かい装飾がほどこされている。
また、中堂の壁面には「雲中供養菩薩」とよばれる52体の小仏像がさまざまな姿態をあらわして懸けられている。座像は約40cm、立像で90cmほどの大きさで、琵琶、琴、鼓などの楽器を演奏するもの、合掌し舞踏するものなどじつに多彩で、いまはその多くが「鳳翔館」に展示されている。
平等院の歴史
嵯峨天皇の皇子源融は、平安初期、この地に別荘を営んだ。のちに藤原道長の所有となり、さらに道長の子頼通によって、世が末法に入ったとされる1052年(永承7)に寺院に
改め、天台宗平等院とした。
その後、数度の兵火により山内の伽藍は焼失し、また応仁の乱で寺勢は衰退した。ただ阿弥陀堂は兵火を無事にくぐりぬけ、往時の華麗さをいまに伝えてくれる。阿弥陀堂を鳳凰堂とよんだのは江戸時代以降のことで、屋根の鳳凰、また中堂と翼廊が鳳凰(古来中国で尊ばれた空想上の瑞烏)が翼を広げた姿に似ていることからの呼称である。
いま平等院の境内には、ほかに鎌倉初期の建築になる観音堂と鐘楼があるだけで、この鐘楼の鐘は天下三名鐘のひとつとして名高い。
天下三名鐘とは、勢いの東大寺、形の平等院、声の園城寺(三井寺)の鐘をいい、平等院の鐘は名鐘に数えられている(いまは「鳳翔館」に展示)。
宇治市宇治蓮華116
0774(21)2861
拝観時間
庭園 8:30~17:30
鳳凰堂内部拝観 9:30~16:10
平等院ミュージアム 9:00~17:00
拝観料
庭園+平等院ミュージアム鳳翔館
大人 600円
中高生 400円
小学生 300円
JR奈良線宇治駅下車 徒歩10分