pickup

高山寺は京都市右京区栂ノ尾(とがのお)にある古刹である。創建は奈良時代

世界遺産
高山寺は三尾の寺のなかで最も北に位置する。清滝川に沿って走る周山街道の白雲橋の先に寺域への表参道が斜めに上っている。又、JR栂ノ尾バス停から急勾配のジグザグに屈曲した石段の裏参道からも境内に入ることができる。
境内といっても高山寺はうっそうとした老木が空を隠す山の中の寺だから、整然と諸堂が建ち並んでいるわけではない。表参道から立ち入れば、菱形の敷石が置かれた道の先に屹立する壁のような石段(金堂道)があらわれ、その段上に金堂が一棟だけ建っている。
紅葉の名所。単立寺院。

高山寺の創建と明恵上人

戒律を守り樹上座禅で知られる明恵上人の寺。
茶の栽培で知られ栂尾の茶は本茶とされた。
鳥羽僧正の鳥獣戯画絵巻は国宝だ。

高山寺の創建は、774年(宝亀5)光仁天皇の勅願による華厳宗の寺院、神願寺都賀尾坊にはじまるといわれ、平安初期には、天台宗に改宗して都賀尾寺と称した。その後、荒廃するが、神護寺を再興した文覚上人によって再興されて神護寺の別所となった。しかし文覚が佐渡に流罪となると、ふたたび寺域は荒れた。

文覚に師事していた明恵は、1206年(建永元)に後鳥羽上皇の院宣をえて、華厳宗復興の道場として再興して、「日出先照高山之寺」と勅額を賜り、高山寺とした。
明恵はほかの名僧のように宗祖や指導者とならず、ひたすら坐禅にあけくれ、高山寺にある石、木の根など明恵が坐らなかったものはないといわれた。その高潔な人柄は多くの人々から崇敬を得た。高山寺には「明恵上人樹上坐禅像」があり、木の枝に坐る上人が描かれている。
また、明恵上人は、入宋した栄西から茶の種を贈られ、茶園を営んだことでも知られている。

渓谷の風が渡る「石水院」

金堂から明恵上人御廟、開山堂、茶室遺香庵と、杉木立のなかに建つ諸堂をみて、石畳の坂道を下ってゆくと、国宝の「石水院」が建つ区域にでる。
「石水院」は五所堂ともいい、鎌倉時代初期の様式を伝える遺構で、住宅風(寝殿造)建築の傑作といわれる。石水院は1224年(貞応3)に後鳥羽上皇の賀茂別院から移され、明恵上人の禅堂、庵室として使われており、1547年(天文16)の兵火でも焼失をまぬがれた。ただ今日みる石水院は、明治期に金堂の東にあった経蔵を移して改築したものである。

板間に置かれている善財童子像が外光によって影絵のようにみえ、明けはなたれた堂内は清滝川からの涼風が吹き抜ける。縁側に座って静かな時をすごす人も多い。

また、寺宝の「鳥獣人物戯画」(複本、実物は東京と京都の国立博物館に寄託)や「明恵上人樹上坐禅像」もこの石水院内に展示されている。

京都市右京区梅ケ畑栂尾町8
075(861)4204
拝観時間 8:30~17:00
石水院拝観料 800円
※秋期入山料 500円

HP: https://kosanji.com/
京都駅よりJRバス高雄/京北線 栂ノ尾下車 徒歩5分

アクセス

おすすめの記事